鳥居弘忠・瑶子の戦歴

社交ダンス世界No.1
豊中の鳥居夫妻

1975年、彼等はまず全日本選手権ラテン部門で初優勝を飾り、
名実共に日本のトップに立った。
さらに翌年、翌々年と全日本を制し、77年ついにドイツのマインツ市で
行われた10(テン)ダンスの選手権で劇的な勝利をとげ、
日本人として初めてダンス世界一の王座を掌中にした。
この日こそは日本が世界に誇るラテンチャンピオン、
ヒロ＆ヨーコ・トリイにとって、生涯を通して忘れることのできない
「最高の良き日」であったばかりでなく、
日本ダンス史に永く記録されるべき歴史的快挙を成し遂げた日である。
社交ダンス世界No.1 当時の新聞記事より
日本ダンス界にかかわるこの画期的なニュースは
現地から電送された鳥居カップルのアクション写真入りで大々的に報道された。
ヒロは1O(テン)ダンスの試合の10日ほど前に
練習のし過ぎから左ふくらはぎに肉離れを起こしてしまった。
それでもスポーツ用品店で見つけたホッケーのスティックを杖に練習を続けていた。

「選手仲間には呆れられましたが、
日本代表として初出場するからには決勝に入りたいと必死だったのです。」

試合当日には痛みも回復していたが、又予選の最中に肉離れを起こしてしまった。
もはや、出場するか棄権するしかない。
ヨーコに励まされてヒロは出場する方を選んだ。
これで片足が不自由になるかもしれない。
選手生命も終わりか…
気がつくと決勝に残っていた。
まさに百メートルダッシュと同じ過激なスポーツ、
それを1O種目だから大変な体力と気力が要求される。
結果は・・・
前チャンピオンを抜いて日本人として初のタイトルとなったのだ。

ヒロ＆ヨーコにとってもう一つ忘れられない記録が、
1976年全英選手権ラテン3位という成績。
最高の権威を持つ全英選手権という桧舞台にもヒロ＆ヨーコは名を刻んだ。
そのダイナミックな踏風から「ダイナマイト・トリイ」と欧米で呼ばれた。
二人の成績を超える日本人選手は残念ながらまだ現れていない。

1982年、惜しまれて、鳥居弘忠、洋子カップルは、
チャンピオンのまま競技選手生活から潔く退いた。
ひたすら前へ前ヘとまい進してきた彼等の引き際の美学といえようか